痛みの治療を知ろう

第2話 頭がしめつけられる緊張型頭痛

仕事が山積みで、期限が迫っているのになかなかはかどらない。なんとかしなきゃ...。肩や首はこるし、頭も痛い。目も痛む。一晩ぐっすり寝られたらなあと思うけれど、寝られず、疲れと頭痛とこりだけが何日も続く。
どんなに忙しくても、仕事の後の一杯を欠かさない、遊ぶ時間は探し出す。こんな人は診察室には来ません。

来る人はみんな真面目そうな人です。なかには裏街道の人も来ます。「むちゃくちゃ肩や首がこって、頭も痛い」「接待をしていると頭がキューと締め付けられて苦しくなる」風采はともかく、とても真面目です。どんな接待をしているのかは知りませんが...。

頭をバンドで締め付けられるような頭痛。頭の両側や後頭部が痛い、後ろの首筋が強く張る、目の奥が痛む、気持ち悪くなる...これが緊張型頭痛。精神的・身体的なストレスで誘発されます。原因がわかっていれば多少の対処はできるでしょうが、それが仕事や勉強、家事であれば避けることはできません。

原因となる引き金が引かれると、体では筋肉の収縮が続き、周囲の血流が悪くなります。筋肉では痛みの元になる物質が放出され、その痛みがさらに筋収縮を生じるという悪循環が生じます。このような痛みが持続すると、首、肩、肩甲骨の間も強くこります。目が痛むため眼科へ行く人、肩こりが強くマッサージを受ける人もいます。

ストレスのない生活ができれば最高。運動をしていればさらに結構。それでも頭が痛く辛いならば、ペインクリニックでの治療も一手です。

治療はまず、強く張った筋肉に、細い針でトリガーポイントブロックと呼ぶ局所注射を何カ所か行います。これだけでも痛みが軽減しますが、効果が薄く症状の強い人には星状神経節ブロックを行います。これは頚部交感神経を遮断し、胸部から上の部位の血流をよくし、筋肉の緊張を緩めるので強い緊張型頭痛には効果があります。ストレスが強い場合は、安定剤や軽い抗うつ薬も併用します。

平成15年から16年に毎日新聞日曜版に掲載されました「痛みさえなければ」を再編集しています。